Intelligence Volume17(March, 特集:福島鑄郎コレクションと占領期雑誌

特集二本立てで「福島鑄郎コレクションと占領期雑誌」と「新資料による陸軍中野学校研究」。巻頭を飾るのがウィスコンシン大学教授のルイーズ・ヤング教授の「21世紀における占領期研究再考」で1950年代以来の米国の日本占領研究とGHQによる検閲資料を集成したゴードン・プランゲ文庫の歴史と意味、さらに今後の研究ではアジアを視野に入れる必要があると論じている。戦前・戦後の雑誌収集家で著名な福島鑄郎氏のコレクションを巡って宗像和重早大教授、石川巧立大教授、前島志保東大准教授の三論文、加えて在野の研究者三谷豊氏の少年少女雑誌研究。中野学校特集は「最後の証言―陸軍中野学校第一期生牧澤義男氏」インタビューが貴重な資料である（ただ一点66頁右段１行目「昭和16（1946）年」との記載は1941年の明らかな誤植）。他に軍事史家の木村洋氏の「ヤマ機関の通史」と山本武利早大名誉教授が発掘した「陸軍中野学校重要公文書」、なかでも一期卒業者名簿と1945年廃校時の教官名簿が貴重。他にも土屋礼子早大教授、川崎賢子立大教授、小林聡明日大専任講師、島田顕関東学院大講師、木原勝也氏、久保健助東経大教授が寄稿。これまで113回を重ねて、ほぼ毎月開催されている「20世紀メディア研究会」にも注目しておきたい。